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ピアノの持つパフォーマンスを最大化 『ヤマハリニューアルプラン』をプロが体感。その評価は?

サービスクオリティは搬出時から

『ヤマハリニューアルプラン』では、まずWebサイトやお電話でお問い合わせいただき、ピアノの型番や状態などをヒアリング。そこから概算見積もりをお伝えし、ご納得いただいた上で、ピアノを当社センター(横浜、大阪、掛川)に運んで作業を行います。

協力会社はピアノ搬送のプロ。スタッフはピアノに対する高い知識を有している

協力会社はピアノ搬送のプロ。スタッフはピアノに対する高い知識を有している

モノを運ぶ仕事の中でも、ピアノは非常に繊細で気を遣います。単に安全に運ぶだけでなく、輸送にあたってはピアノに対する知識・技能が求められます。当社の協力会社である運送会社は日本でも有数のピアノ輸送のプロ。今回、安部さんのピアノ搬送を担当した康平運送(神奈川県横浜市)さんもピアノ輸送のエキスパートともいえる会社で、運搬スタッフはピアノの構造をしっかり理解し、アクションの取り外しや組み上げなどのスキルを備え、ピアノに負荷をかけない最適な輸送を提供します。
安部さんの事例でもそうでしたが、搬出に関しては必要に応じて事前にご自宅を訪問。搬出経路、前面道路や周囲の交通状況などを確認して、適切な車両配置などを検討し、搬出プランを策定します。安部さん宅の場合、前面道路がやや急な坂道であることの作業への影響、近隣へのご迷惑とならない車両待機位置などに留意して搬出の計画が立てられました。

実はこのピアノの搬出入は、お問い合わせ時点で多くのお客様が心配されるポイントのひとつです。「ピアノを買ってから増改築した」、「家の周辺が開発によってピアノを買った当時と大きく変わった」などの理由から「果たしてピアノがちゃんと出せるのか?」というご心配を持たれている方が多く、その手間を懸念される方もいらっしゃいます。

そんなお客様の懸念に対し横浜センターの飛田泰一センター長は「多くの場合、そうしたご心配は杞憂です」といい、次のように続けます。
「運送は当社と協力会社とで綿密に計画します。狭小地などでの搬出入経験も豊富ですので、一見難しいと思われそうな場合でもほぼ何らかの解決策が見つかります。」

お客様宅〜センターまでピアノ搬送の模様

ひとりの技術者が全てを担当できる理由

センターに持ち込まれたピアノは担当技術者が全体を細かくチェックし、あらためて詳細な作業工程を検討します。『ヤマハリニューアルプラン』の作業は、<内外装のクリーニング・補修>と<整調・整音・調律>。言い換えるなら「見た目」と「音」の2つに分けられます。当社ではこの修復から音に関わる仕上げまでをひとりの担当技術者が担う<一人一台体制>を取っています。修復に関するほぼ全てのスキルを備えていると同時に、調律師の資格も有す当社認定技術者だから可能ともいえる体制で、その内容は『ヤマハリニューアルピアノ®︎』の再生工程と全く同じものになります。

一台のピアノをクリーニングから音の調整まで一人の技術者が責任を持って担当する

一台のピアノをクリーニングから音の調整まで一人の技術者が責任を持って担当する

安部さんのピアノを担当したのは横浜センターの馬場政法(一級ピアノ調律技能士/オルガン技師)。運ばれてきた安部さんのピアノの第一印象を、馬場はこんなふうに振り返ります。
「丁寧に使われているなと感じました。弦や内部部品も経年変化による劣化などは見られるものの、交換が必要なほどではなく、通常の修復作業で対応できると判断しました。一方、外装については腕木部分に大きな凹みがあったのと、天板や足にも目立つキズがいくつか確認できました。そのため外装の修復にやや時間を要すると考え、全体の作業工程を組みました。」

安部潤さんのピアノの再生工程

STEP 1

ご自宅からのピアノ搬出、横浜センターへと搬入

STEP 2

外装取り外し傷埋め
内部清掃(チューニングピン・弦磨き・フレーム汚れ落とし)

STEP 3

外装研削研磨

STEP 4

整調(ハンマーファイリング)

※整調作業の詳細は次項の表参照

STEP 5

消音点検調整
調律
外装組上げ
全体チェック

STEP 6

横浜センターから搬出、ご自宅に搬入・設置
調律
確認
納品

ちょうど撮影スタッフが入った時に作業していたのが、チューニングピン、弦の磨き工程でした。弦の汚れに対応して番手の違う数種のヤスリを使って弦を磨いていくと、明らかに磨いた箇所とそうでない箇所の違いが鮮明になっていきます。

「弦の錆びやカビは音の響きにも影響します。放置しておくと劣化が進み、最悪の場合、張り替えが必要になるケースも出てきます」(馬場)

クリーニングは見た目だけでなく音に影響を与える部分も多く、また単に見た目がきれいになっていても、張力が不足していたり、ピンに緩みがあるとすぐに音のバランスは崩れてしまいます。そのため担当技術者はその作業過程でチューニングハンマーを用い弦の張力、状態を詳細に確かめながら作業を進めていきます。もちろん調律や出張修理などでも技術者はピアノの状態をチェックします。しかしリニューアルプランをご依頼いただき、センターに持ち込んで行う作業は、それ以上により緻密で精細なものになります。

弦の表面を研磨して汚れを除去する。磨いた箇所とそ未作業部分に明らかな差が

弦の表面を研磨して汚れを除去する。磨いた箇所とそ未作業部分に明らかな差が

「センターに持ち込み、アクション、弦、鍵盤など、細部をチェックする。わずかなズレも見逃さないことが故障につながる不具合を未然に防ぎます。結果、そのことが大切なピアノを1日でも長く良い状態に保つことにつながるわけです」

飛田センター長はセンター持ち込み作業のメリットをそう指摘します。

内装クリーニング作業の様子

この『ヤマハリニューアルプラン』をご依頼いただいたお客様が、まず感動されるのが外装の美しさです。外装補修は明らかに大きな凹みやキズはもちろん、通常は確認しにくい小傷なども、照明を当てて細かくチェックします。斜めからやや強めの光を当てることで、細かな凹みやキズの視認性を高め、状態に合わせたポリッシャー、バフを交換しながら丁寧に研磨。安部さんのピアノに見られた腕木の凹みなど、損傷が大きな箇所は、専用のパテで穴埋めを行い、乾燥した後に成形。純正塗料で吹き上げ、表面を磨き上げます。キズの度合いによってはこの作業を数回繰り返して修復、その痕跡が判別できない状態に外装を仕上げます。またペダルなどの金属部分は研磨によって輝きが復活。安部さんのピアノのキャスターローラーは金粉を一度吹き、磨き処理を施しています。

大きな目立つキズはもちろん、小さなキズも見逃さずに外装を仕上げていく

大きな目立つキズはもちろん、小さなキズも見逃さずに外装を仕上げていく

外装クリーニング作業の様子

ほぼ既存の状態を活かした形で再生作業を行なった安部さんのピアノですが、1箇所だけ外装部分で部品交換を行っています。それは屋根を開いた時に支える突き上げ棒のストッパー部分。棒を固定する金属部品に劣化が見られたためです。
担当の馬場は「何かの拍子に金属部分に大きな力が加わり、そのまま屋根を開けた状態が続いたための金属疲労が原因ではないか」と推測。それを安部さんにお伝えすると「確かにここ数年、ほぼ屋根は開けっ放し」だったということです。

鍵盤/金属部品クリーニング作業の様子
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